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世界初の三次元積層型AIチップの製品開発に成功

(2022/2/16)

カテゴリ:商品サービス

リリース発行企業:東北マイクロテック株式会社

世界初の三次元積層型AIチップの製品開発に成功


世界初の三次元積層型AIチップの製品開発に成功

3D-IC技術の研究開発を主体としてビジネス化を目指す東北マイクロテック(株)(本社:中小機構・東北大学連携ビジネスインキュベータT-Biz内、 代表取締役:元吉真)は、NEDOの「AIチップ開発加速のためのイノベーション推進事業」の支援のもとに自社の持つ3D-IC技術を使い、東北大学及び長崎総合科学大学と連携して、これまでにない新しい原理に基づ三次元構造を利用したAIチップの製品開発に成功しました。このAIチップは、時系列情報や音声認識に必要な再帰型ニューラルネットワーク(RNN: Recurrent Neural network)の動作も可能で有り、DNN (Deep Neural Network), CNN (Convolutional Neural Network), RNNなどのニューラルネットワークを要求に応じて切り替えて使用することもでき、今後、応用が広がるとされるセンサーなどのエッジ(末端デバイスと一体化して使用し、簡単な学習機能を有するエッジAIチップとして実用化することを目指しています。
【URL】http://www.t-microtec.com




詳細な説明
今回製品開発した三次元積層型AIチップは、東北マイクロテック(株)CTO(東北大学名誉教授)の小柳光正が発明し、中心になって開発した新しい原理に基づく三次元積層型AIチップです。この新しい積層型AIチップは、ニューロ演算を行うニューロチップと重みデータ等を格納するメモリチップを4層積層した構造を有します。具体的にはニューロチップ2層、メモリチップ2層の4層積層です。ニューロチップは64個の入力ニューロンと64個の出力ニューロンを、クロスバー方式のシナプス回路アレイで接続した構成です。シナプス回路に2トランジスタ、1キャパシタ型のDRAM(Dynamic Random Access Memory)セルを用いて、ニューロ演算の中核となる積和演算を低電力で高速に実行するMemory-in-Computingの手法を採用しています。シナプス回路アレイで乗算を一括で実行し、その結果を出力ニューロンで一括加算しています。シナプス回路のキャパシタには8ビットに相当する256諧調のアナログ重みデータの保持が可能です。シナプス回路としてはSRAM(Static Random Access Memory)や、新しい不揮発性メモリを使ったものがいろいろ提案されていますが、これらのシナプス回路ではこのような高諧調のアナログデータを保持することは困難です。今回開発した積層型AIチップでは、このようなニューロチップの入力と出力が対向するように互いに90度回転させて積層しています。これによって、ニューロ演算を上下のチップ間でサイクリックに行うサイクリック・ニューロ動作を可能にしています。ニューロ演算では、積和演算に使用する重みデータを頻繁に書き換える必要があり、通常のニューロチップでは、この重みデータの読み出し・書き込みに膨大な電力と信号遅延が伴います。そのため、今回開発した積層型AIチップでは、重みデータを格納するメモリチップをニューロチップの直上に積層することによって、低電力で一括のデータの読み出し・書き込みが可能となっています。
 なお、これまでのニューラルネットワークでは、演算結果の認識率を向上させるために、ニューロン層を100層以上用意して低位のニューロン層から上位のニューロン層へ向かってニューロ演算を繰り返していました。しかし、このようなニューラルネットワークをシリコンチップにマッピングしようとすると、三次元積層型半導体技術を使っても100層以上のニューロチップを積層する必要があり現実的ではりません。そのため、今回開発した三次元積層型AIチップでは、2層積層した上下のニューロチップ間でサイクリックにニューロ演算を繰り返すことによって、実効的に100層以上のニューロ演算を実行できるようにしています。 サイクリック・ニューロ動作を可能としたことにより、時系列情報や音声認識に必要な再帰型ニューラルネットワーク(RNN: Recurrent Neural network)の動作も可能となりました。このように、今回開発した三次元積層型AIチップではDNN (Deep Neural Network), CNN (Convolutional Neural Network), RNNなどの、ニューラルネットワークを要求に応じて切り替えて使用できるようになっており、再構成ニューラルネットワーク(Reconfigurable Neural Network)の最初の実現でもあります。なお、今回の三次元積層型AIチップの開発に当たっては、ニューロチップの設計に関しては長崎総合科学大学、試作に関しては東北大学の協力を頂いています。


東北マイクロテック(株)は、このようなサイクリック・ニューロ動作機能を有する三次元積層型AIチップをセンサーなどの末端デバイスと一体化して使用する、エッジAIチップとして実用化することを目指しています。そのため、東北大学と協力して専用ソフトウェアも開発しています。画像認識用のソフトウェハは、岡谷貴之教授(情報科学研究科)のグループが、時系列処理や音声認識用のソフトウェアは堀尾喜彦教授(電気通信研究所)のグループが開発を担当しました。岡谷教授は、新しい画像認識用アルゴリズムとして注目されているビジョントランスフォーマー(ViT)を、三次元積層型AIチップ用に最適化したTiny-ViTを開発しています。また、堀尾教授は、サイクリック・ニューロ動作を基にしたリザーバーニューラルネットワーク(RNNの一種)、カオスニューラルネットワークを使った時系列処理や音声認識用のソフトウェアを開発しています。元吉社長は、東北マイクロテック(株)と東北大学が共同で設立した12インチウェハによる三次元集積回路製造拠点(GINTI: Global Integration Initiative)での三次元積層型AIチップの早期の製造により、巨大な市場が出現すると言われているエッジAIの世界での先鞭を目指しています。また、三次元積層型AIチップの用途拡大を目指して共同参画頂ける企業を募集中です。 なお、今回の三次元積層型AIチップの開発はNEDOのAIチップ開発加速のためのイノベーション推進事業の支援のもとに実施しました。


 
本製品の開発ともう一つの意味
半導体は、産業の米といわれるほど現代の生活に不可欠になっています。国内ではイメージセンサやフラッシュメモリのような特定分野の技術はありますが、今後大きく市場が拡大するデジタル半導体の製造は、海外の製造メーカに頼っています。半導体製造技術を成長させるためには、常に研究・開発新規設備導入というサイクル回すことが必須で、これができなければいくら資金を投入して技術開発して作るものがなければ直ぐに餓死します。実現するためには売り上げ・利益を上げるための多数の半導体製品のマーケットを掴むことが必須です。ここでは三次元構造を持つAIチップは、新しい原理を使ったエッジAIの開発が成功したという意味もありますが、このAIチップの早期の製造により、巨大な市場が出現すると言われているエッジAIの世界での先鞭を目指しています。東北マイクロテック(株)東北大学共同で3D-ICの研究開発を続けてきており、更に共同で設立した12インチウェハによる三次元集積回路製造拠点(GINTI: Global Integration Initiative)を運営しています。この設備を利用して、AIチップの量産化に向けた開発製造を積極的に進めたいと考えています
また、AIチップでは、それを使った応用もデバイス技術に劣らず重要での用途拡大を目指して共同参画頂ける企業を募集しています。

東北マイクロテック株式会社について
会社説明文
東北マイクロテック(株)は、世界に先駆けて研究開発を始めた三次元IC(3D-IC)技術を事業化するために設立した会社です。
チップレベルから12”対応の三次元積層型ICを製造する設備を有する三次元積層に特化した国内で唯一のファウンドリで、微細TSV、マイクロバンプ接合等の新規技術を入れて、お客様のICに高性能・高機能・小型化・省電力といった新しい機能を付加します。
【会社概要】
社名:東北マイクロテック株式会社
本社所在地:
代表取締役:元吉 真
設立: 2010年4月2日
事業内容:
HP:htttp://www.t-microtec.com

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