[ その他 ]
(2016/1/19 05:00)
「フライホイール効果のある人に出会うこと」―。年が明けてからお会いした千葉県浦安市の機械メーカー、東部重工業社長の吉田牧男さんは、今年の抱負をそう語った▼フライホイールは“弾み車”のこと。機械の回転を安定させるための重要な部品だ。ビジネスチャンスにつながる有益な情報を持つ人と数多く知り合うことで、経営の安定化を図りたい中小企業経営者の切実な思いが伝わってくる▼それは、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の恩恵が十分に届いていない中小企業に共通した希望であるだろう。昨年の米国利上げと中国経済減速の余波に加え、新年早々、サウジアラビアとイランの国交断絶、北朝鮮の水爆実験など先行き不安なニュースが相次ぐ。世界経済の混迷が日本に影を落とす▼将来への不安が膨らむ中で、人材確保のための賃上げを迫られ、あるいは投資拡大など国からの注文ばかりが増えて困惑している経営者は少なくない。ただ、先行き不透明だからこそ勇気ある次の一手が雌雄を決するのも確か▼帰り際に「景気が良かろうが悪かろうが、うちは何かやりますよ」と吉田さん。その力強い言葉に、日本経済を支える中小企業のプライドを見いだした気がした。
(2016/1/19 05:00)