[ その他 ]
(2016/2/3 05:00)
中部経済連合会が「新中部圏の創生」を提言した。中部は自動車や航空機などの主要産業が活況。リニア中央新幹線の建設が進み、未来の主役と目される燃料電池車や国産小型旅客機の産業基盤もある▼にもかかわらず、地方経済の地盤沈下への危機感が鮮明だ。懸念の背景にあるのは、グローバル企業の好調の陰で中堅・中小を中心とする内需型企業の不振が続いていることだ。確かに企業の声を聞くと、大手と中小との景況感が異なるのが当たり前になった▼また、この提言は事業者の自立と自助努力の必要性を訴えている点で政府に注文をつける従来型と一線を画している。近年、経営者から「政府の支援が足りない」という不満を耳にする機会が増えたように思う。公的な産業支援の充実が、企業家精神を損ねていないかと心配になる▼折しも日銀はマイナス金利を導入して銀行の融資姿勢を刺激するという。しかしリスクを背負い、新たな挑戦をする企業家精神がなければ真の日本経済の復活はない▼中経連会長の三田敏雄さんは、会員企業に連携の重要性を訴えてきた。ただ、それも独立心を持った企業家同士が組んで初めて効果を発揮する。提言に多くの経営者が反応することを期待したい。
(2016/2/3 05:00)