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産業春秋/中村教授がもたらしたもの

(2016/2/2 05:00)

「米国の教育は褒めて褒めて褒めちぎりで自信過剰が多数育つ。日本は道徳的に『〜しなさい』が多いし、試験の結果など叱ってばかり」。米カリフォルニア大学教授の中村修二さんの発言は、ストレートでビビッドなのが持ち味だ▼東京農工大学が学生との密着討論会を開催した。押されっぱなしだった学生も「高校では社会、国語が大嫌い。30点が当たり前」など、ノーベル賞受賞者らしからぬエピソードに大いに刺激を受けた様子▼「日本人はまじめで頑張り屋。モノづくりも図面通り、納期を守って仕上げる」と中村さんは評価する。対して「それもメチャメチャなのが”世界の常識“だ」。なのに日本は国際化で勝てない▼ビジネスでも標準化戦略でも、苦戦の原因は「英会話ができない」ことにある。若いうちに海外生活をすれば必ず話せるようになる。また研究者志望なら(修士でなく)博士号をとっておけ―。そんな流れで学生をたきつけた▼「モチベーションはなんですか?」という質問に対しては「不平不満だ。怒りのエネルギーを仕事に使う」と即答。異質なものと交わって、おとなしい理系学生に”化学変化“が起きるか。農工大の教員は、しばらく落ち着かない気分かもしれない。

(2016/2/2 05:00)

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