[ その他 ]
(2016/2/4 05:00)
製造業は”現場が命“といわれる。しかしそれを社内の隅々まで根付かせることに苦労している経営者は少なくないだろう▼トヨタ自動車の新型「プリウス」の受注が好調だ。月販目標1万2000台に対し、発売1カ月で10万台を受注した。昨年12月、量産開始を祝う式典で社長の豊田章男さんは「人が必要なら私もラインに入る」と社員にゲキを飛ばした▼同じ自動車メーカーのスズキでは、会長の鈴木修さんはじめ役員・幹部が国内の全工場を視察する「工場監査」を実施している。2輪車の生産拠点である豊川工場(愛知県豊川市)で、部品が雑然としており、清掃も行き届いていないことが見て取れた▼実は豊川は再編により、2018年の生産終了が決まっている。社員の士気にも影響が出ていたのかもしれない。わずかな変化も鈴木さんは見逃さず「カネをかけてでも、きちんとしなさい」と叱ったという▼実際に社長がラインに入るか、生産終了の決まった工場に新規投資をするかが問題なのではない。トップが関心を寄せることが現場を動かす。トヨタの従業員は社長のゲキに「邪魔しないでくれ。現場は現場に任せて」と返したというから頼もしい。現場はトップの思いを映し出す鏡である。
(2016/2/4 05:00)