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産業春秋/東芝とシャープにエール

(2016/2/5 05:00)

経営再建中の東芝とシャープが混迷を深めている。いずれも基本方針をきちんと決められないままに多くの責任を問われ、存亡の縁に立たされたようにみえる▼昨春、東芝の不適切会計が発覚した時には、他社でもありがちな不祥事という印象すらあった。首脳陣を一掃して出直したはずだが、再建策の策定の中で過去最悪の損失に追い込まれつつある。旧経営陣への賠償請求で社内の人の輪が崩れたことも大きい▼シャープは有力とみられていた産業革新機構主導の再建に背を向け、台湾メーカーの鴻海(ほんはい)精密工業の傘下に入る道に転じた。政府系の革新機構より資金面で有利な鴻海の提案を、受け入れざるを得なかったろう▼総合電機という業態は、数百億―数千億円程度の多くの事業が支え合って成り立っている。個々の事業を抜き出して採算性を問われれば答えは出にくい。経営が求心力を失うと技術者が流出し、泡のように跡形もなく消えてしまう恐れすらある▼あえて強調したい。日立製作所もパナソニックもごく近年、底深い闇から生還を果たした。最も大事なのはトップのけん引力であった。多くの取引先と下請け企業のためにも、東芝とシャープに改めて熱烈なエールを送る。

(2016/2/5 05:00)

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