[ トピックス ]
(2016/4/18 05:00)
熊本県で14日夜に震度7の地震が起き、15日から17日にかけては熊本県や大分県を中心に震度6強などの強い揺れが相次いだ。今回の地震の影響で自動車や電機などの工場の操業が休止、長引く恐れが出ている。各社は生産ラインの停止や、調達・供給といったサプライチェーンへの影響の調査など対応に追われている。
【トヨタの試練】
九州には自動車産業が集積しており影響が出ている。
トヨタ自動車は17日、熊本地震で部品調達に支障が出るため18日―23日までの6日間、国内の車両組み立てラインを段階的に停止すると発表した。愛知製鋼の工場爆発事故の影響で2月に国内すべての車両組み立てラインを6日間停止したトヨタ。挽回生産を始めた直後に新たな試練に直面した。
トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)は15日、16日に福岡県内の工場を停止。引き続き18日からも停止する。19日からトヨタの愛知県内の工場などが順次停止していく。稼働停止の対象外となるのは日野自動車の羽村工場(東京都羽村市)第4ライン、ダイハツ工業の池田工場(大阪府池田市)、トヨタ自動車東日本の東富士工場(静岡県裾野市)の高級車「センチュリー」ラインのみだ。
トヨタは今回の工場停止による減産台数を公表していないが、2月の6日間の停止では9万台に達した。九州でのサプライチェーンの乱れが全国に波及したことで、管理の難しさが改めて浮き彫りになった。
【圏外にも影響】
日産自動車の子会社日産自動車九州(福岡県苅田町)は15日に平常通り稼働した。16日も稼働を予定していたが、部品調達の影響で休止。18日以降は通常稼働に戻す。
影響は九州圏外にも及んでいる。三菱自動車は部品の調達見込みが立たないため、水島製作所(岡山県倉敷市)の車両生産ラインを18―19日の2日間停止する。タイミングチェーンケースを調達するアイシン精機の熊本県の工場が被災。生産回復の見込みも立たないため、20日以降の操業は18日以降に検討する。
九州は半導体産業も集積している。多くは自動車や産業機器、スマートフォンなどの民生機器向けに供給されている。被害の大きい熊本県内には、ソニーやルネサスエレクトロニクスなど半導体主要メーカーの生産拠点が計7カ所存在する。
【スマホに痛手】
ソニーは主にCMOS(金属相補型金属酸化膜半導体)画像センサーを生産する、子会社のソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(熊本県菊陽町)が九州に4拠点を構える。工場を停止しているのは熊本テクノロジーセンター(同)で、生産するCMOS画像センサーはスマートフォンのカメラ向けが最も割合が大きい。米アップルの「iPhone(アイフォーン)」などの生産への影響が懸念される。また、大分と長崎の工場で一部稼働停止していた生産ラインは、立ち上げ準備が完了し生産を再開した。
ルネサスエレクトロニクスは生産子会社、ルネサスセミコンダクタマニュファクチュアリング(茨城県ひたちなか市)の川尻工場(熊本市南区)で、エンジン制御などを行う自動車用のマイコンなどを手がけている。同工場は震災発生から現在も稼働を停止しており、再稼働の時期は未定。ルネサスはカスタム品の生産も多く手がけており、長引けば少なからず影響は出てきそうだ。
(2016/4/18 05:00)