[ オピニオン ]
(2016/4/21 05:00)
日銀がマイナス金利を導入して2カ月あまりが経過した。金融緩和策としては初の手法であることに加え、世界経済が混沌(こんとん)としているため、効果のほどが見えにくくなっている▼利下げの結果、住宅ローン金利が引き下げられた。ローンの借り換えは進んだが、住宅建設の増加には至っていない。また預貯金金利の引き下げで利息は”雀の涙“がゼロに近づき、タンス預金が増えた▼大手銀行のトップが日銀を批判する異例の事態も起きた。「(マイナス金利は)銀行業界にとって短期的には明らかにネガティブだ」という。貸出金利の低下で銀行の収益は大打撃を受けている▼マイナス金利批判に日銀審議委員の一人は「金融機関が損失を被るから反対というのは、一部の業界が損失を被るからTPPに反対だというのと同じ」と反論する。仮に多くの銀行がつぶれたら、その影響は計り知れない▼日本より先にマイナス金利を導入した欧州の銀行では、マイナス幅を広げる方向にある。「マイナス金利を含めて金融政策運営が制約されることはない」と黒田東彦日銀総裁はマイナス幅拡大をちらつかせる。とはいえ、効果が確認されない段階でマイナス金利を拡大するのは、賢明とはいえないだろう。
(2016/4/21 05:00)