[ オピニオン ]
(2016/5/16 05:00)
「ロコモ」という言葉がにわかに注目を集めている。言葉の響きからはかわいらしい印象もあるが、推計で国内4700万人が危険にさらされていると聞くとドキリとする。
正式名称は「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」。日本整形外科学会が提唱した新たな概念で、骨や関節、筋肉などの運動器の障害のために自立度が低下し、介護の必要を迫られる状態を指す。
運動器障害の要因で多いのは変形性膝関節症などの関節疾患。ロコモ対策には、体を支える基盤となる下半身の筋力維持が重要となる。対策プログラムなどの”アンチロコモ“サービスも次々登場し、健康診断に取り入れる自治体も増えている。
日本人の平均寿命は女性が世界トップ。男性も3位に位置している。こうした長寿大国の一方で、健康に日常生活を過ごせる健康寿命と平均寿命の差は男性で約9年、女性では約13年もある。裏を返せば10年間ほどの「健康でない時期」があるということだ。
ただロコモは高齢者の問題と決めつけられない面もある。筋力と筋量は20歳がピーク。それ以後、特に下肢筋力の減少は急速だ。体が衰え始める30―40代から、日々の運動は欠かせない。健康の道も一歩から―である。
(2016/5/16 05:00)