[ オピニオン ]
(2016/5/20 05:00)
暦の上ではとうに立夏を過ぎたが、少し前にちょっとした椿事(ちんじ)があった。毎号、お送り頂いている業界紙が論説室に届いた。よく見ると宛先が弊社の大阪支社になっている。職名と受取人名は春秋子で間違いない。
発行元に尋ねたところ、最新号で宛先を誤ってパソコン登録してしまったという。その点は小さなミスでしかない。不思議なのは、なぜ郵便番号まで誤記した帯封が東京・中央区にある弊社に正しく到着したのか。
近年の物流システムの革新はめざましい。宅配便などの大量発送ではバーコードや個別符号で宛先を識別し、最寄りの拠点に運ぶ。住所を視認するのは最後の戸別配達の段階だけとか。郵便でもいつの間にか郵便番号以外の識別方法が開発されていたのだろうか。
気になって問い合わせた。「同じ宛先の他の封書に貼り付いて届いてしまった可能性が最も高い。あってはならないこと」と謝罪され、恐縮した。貼り付きは郵便番号の読み取り機にかける時、まれに起きるらしい。その後の手作業でも配達先社名が同じなので、見過ごされたようだ。
原因が分かり、ひと安心。ただ「名前だけで届くほど有名になったと思いなよ」と同僚にからかわれたのが、どうにも面白くない。
(2016/5/20 05:00)