[ オピニオン ]
(2016/5/19 05:00)
職場にある飲料の自動販売機。コインを投入してボタンを押したが、コーヒーが出てこない。釣り銭も戻っていない。もう一度コインを入れても、やはり反応がない。
3回分を飲み込まれたところで「故障の時はここへ」に電話。オペレーターに自販機の管理番号を告げると「すぐに担当者が向かいます」と言われた。電話を切った直後に「すみませんでした」と若い男性職員が現れた。
あまりにも素早い対応に戸惑う。ただ最近の自販機は通信機能を搭載している例があると聞く。広い範囲から膨大な販売データを自動収集して商品開発や品ぞろえに利用する。品切れや故障の情報が伝わったか、あるいは苦情の電話が偶然、近くにいた担当者の携帯端末に連動したのか。
いろいろ想像した上で「どうしてこんなに早く来られたのですか」と尋ねた。すると「しばらく前に故障の連絡をもらったので会社を出て、いまこちらに着きました」との返答。
なんのことはない。先に電話した人がいたという極めてアナログ的な偶然が起きただけ。「ITでサービス革命が起きる」という思い込みが自分の中にあったことに気づかされた。コインは無事に帰ってきたが、ブラックのコーヒーの苦みが少し増した。
(2016/5/19 05:00)