[ オピニオン ]
(2016/5/24 05:00)
今も下町風情あふれる団子坂(東京都文京区)周辺は、江戸時代から多くの植木職人が住んでいた。大正時代の関東大震災で被害を受けた盆栽園の一部が良質な土や水、新鮮な空気を求めて、埼玉県の大宮に移転した。
それから90年余。「大宮盆栽村」(さいたま市北区)は屈指の盆栽の名所として内外に知られるまでになった。大自然の美しさや景色を凝縮して表現する盆栽を鑑賞家は「鉢の中に小宇宙を想像できる」という。
高齢者の趣味と思われがちだが、イタリアやフランスはじめ海外では若者の愛好家も少なくない。「BONSAI」は「KARAOKE」や「MANGA」と並んで、英語として定着した。
さいたま市は10年前から小学校の授業に盆栽づくり体験を取り入れている。2016年度は11校、約1000人の生徒が参加する。経済局商工観光部の柳田香さんは「若い世代に盆栽の魅力を知ってもらいたい」と目を細める。
17年4月には、4年に一度の「第8回世界盆栽大会」が開かれる。さいたまでの開催は第1回以来、28年ぶり。市長の清水勇人さんは、さいたまを“盆栽の聖地”として世界にアピールする機会ととらえる。日本の文化が世界に広がるきっかけになってもらいたい。
(2016/5/24 05:00)