[ オピニオン ]
(2016/6/15 05:00)
いま都内で本物のノーベル賞のメダルを見られる。東京・北の丸公園の国立公文書館が7月2日まで開催している企画展「栄典のあゆみ―勲章と褒章―」で、故・佐藤栄作元首相が受けた外国の勲章の一つとして飾ってある。
ケースの中でアルフレッド・ノーベルの横顔が山吹色に輝く。現在のメダルは18金の基材に24金のメッキを施しているそうだが、1974年の受賞時はまだ全体が純金だった。
公文書館は行政資料の保管だけではなく、国の重要な意思決定に携わった人が残した文書などの寄贈・寄託を受け入れている。その中に佐藤元首相の日記やアルバムがあり、わが国唯一の平和賞メダルも含まれる。
数年後に満杯になる同館の今後について、内閣府の調査検討会議がまとめた基本構想では、個人や団体が所有する歴史文書の収集について聞き取り調査など新たな手段も取り入れ、範囲を拡大すべきだと提案している。真っ先に対象になるのは元首相らの関係者だ。
自らの言動が「国家の記憶」の一部となり、後世に評価されることを政界のトップはこれまで以上に意識してもらいたい。その気持ちがあれば、つまらぬ不祥事など起きないはず。自治体や産業界のトップも同じであろう。
(2016/6/15 05:00)