[ オピニオン ]
(2016/6/27 05:00)
英国が国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めたことは、世界の政治・経済にとって大きな衝撃だ。これが2008年のリーマン・ショックのような混乱につながったり、他国が行き過ぎた孤立に向かったりすることのないよう各国に配慮を求める。
経済の混乱を嫌気した円高・株安は、週明け以降も続くとみられる。実体経済への波及は避けられず、日本企業の業績への打撃も覚悟する必要がある。
すでに日本をはじめとする主要7カ国(G7)は、英国の決定直後に世界の金融安定に向けて緊密に協議し、適切に対応していくとの声明を発表した。経済秩序の骨格であるG7が結束を崩すことなく協調し、混乱を最小限にとどめるよう努力してもらいたい。
懸念されるのは、今後のEU離脱に向けた具体的な政策である。英国の国民が嫌ったのは、EU主導で政策が決まり、移民の受け入れなどで経済的負担が増すことだ。英国が周辺国との人的・物的交流の抑制に動くのは確実とみられる。
英国とEU諸国の関税が復活すれば、通商の障害となる。英国に進出した企業が欧州で事業を展開しにくくなり、欧州経済全体の発展を阻害する恐れも大きい。とはいえ英国民も、決して鎖国的な状況を望んでいるわけではなかろう。関税の税率調整などで、EU離脱の打撃を最小化するに違いない。
欧州に進出している日本企業は、英国と他の欧州諸国との新たな関係に基づく体制の再構築が必要となる。欧州の地域統括拠点をロンドンに置く企業は少なくないが、そのあり方を問い直さなければならない。
このほか国際標準規格「ISO」はじめ、英国主導で進んできた世界の標準化の流れが変わるかどうかも注目される。
英国の決断が、連合王国を構成するスコットランドなどの分離独立やEUそのものの分裂につながれば、世界は修復不能の混乱に陥りかねない。過度の動揺を防止するためにも、G7の結束の再確認と、当局の適切な対応が求められる。
(2016/6/27 05:00)
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