[ オピニオン ]
(2016/7/5 05:00)
フランスで開催されているサッカーの欧州選手権も終盤。ワールドカップ(W杯)を超える世界最高峰の競技レベルとされるが、英国の欧州連合(EU)離脱決定が水を差した感は否めない。
ちょうど50年前の1966年には、今や世界経済混乱の震源地であるイングランドでW杯が開かれた。決勝はイングランド対旧西ドイツ。判定が微妙な「疑惑のゴール」によりイングランドが地元優勝を飾った。
いまだにドイツのファンは、あのゴールを認めていない。そのドイツの最大手紙「ビルト」が、英国の国民投票前の論評で「もしEUに残留してくれたら、疑惑のゴールを認める」と提案したことに危機感の大きさをみる。
現在のピッチに話を戻すと、イングランドは早々に敗退し、1週間に2度も欧州大陸を離脱したと皮肉られる始末。惨敗相手が2008年のリーマン・ショックで危機に瀕(ひん)したアイスランドだったのも巡り合わせか。
準決勝はEUの盟主であるフランスとドイツが激突。もう一方の準決勝にはウェールズが勝ち残り、最後まで“ブレグジット(英国の離脱)”を阻止する構え。愛憎の歴史が絡みあう欧州からの離脱はサッカーと同様、“ブレグレット(英国の後悔)”にならないか。
(2016/7/5 05:00)