[ オピニオン ]
(2016/7/14 05:00)
佐田千重子と太秦(うずまさ)萌。2人の女性は、京都ではよく知られた存在だ。大きな違いは一方が半世紀以上も前から人気なのに対し、もう一方は最近、人気に火がついた。
千重子は川端康成の『古都』のヒロイン。映画やテレビドラマに何度も取り上げられた名作だが、新作映画が年末に封切られる。原作にはない大人になり、呉服屋として伝統の継承に生きる姿が描かれる。
一方の萌は、京都市営地下鉄・市バスの公式キャラクター。友人の松賀咲、小野ミサとともに駅名から名前をとった女子高生だ。「地下鉄に乗るっ」とポスターで弾むように呼びかけ、ライトノベルなどにも活躍の場を広げている。
萌は多大な建設費をかけながら乗客数が伸び悩む市営地下鉄の応援のために生まれた。予想外の人気でアニメCMになり、ついに秋にはアニメ作品として登場する。千恵子は新作映画を京都府と市が初めて後援。茶道や華道、禅など京都の本物の伝統文化を提供して協力する。
映画やアニメの“ご当地作品”には地域の観光を盛り上げる効果があり、全国で取り組みが盛ん。すでに観光地として人気ナンバーワンの京都が、二つの新作でどう描かれるか。魅力をさらに高めてくれることを期待している。
(2016/7/14 05:00)