[ オピニオン ]
(2016/8/4 05:00)
末は博士か大臣か―。子供の将来を期待しての言葉だが、博士課程修了者のポスト不足や政治不信がはびこる中で、あまり聞かなくなった。しかし今でも、学問や政治を志す若者にとって目指すべき到達点であることは変わりがない。
内閣改造で世耕弘成さんが経済産業相として初入閣した。安倍晋三首相の側近として第1次内閣では首相補佐官を務めた。第2次内閣以降は政務担当官房副長官として連続在職日数を更新した。
政治家になる前はNTT広報部に在籍。当時、ボウリングや酒席を何度もご一緒した。ボウリングの腕はお世辞にも上手とはいえなかったが、そのころから広報マンとして非凡な手腕を発揮した。
政界に転じても自民党でメディア戦略を担当。安倍首相の外遊では後ろにピッタリと寄りそう姿が見られたが、外遊先でも海外メディアの取材手配を一手に引き受けた。
iPS細胞で2012年のノーベル賞を受賞した山中伸弥京都大学教授とは中学・高校の同級生。実家も近いため毎日一緒に通学し、休日には互いの家を行き来して遊んだという。山中さんの受賞発表翌日、ブログで「心から讃(たた)えたい」と友の快挙に喜んだ世耕さん。末は博士か大臣か―の青春時代だったろう。
(2016/8/4 05:00)