[ オピニオン ]
(2016/8/31 05:00)
中国人観光客による日本での“爆買い”は落ち着いてきた。しかしビジネス分野での中華系企業の買収熱は冷めやらない。最近もドイツのロボット大手やスイスの農薬大手などが中華系に渡った。
サッカーの世界でも、本場・欧州に中華勢力が手を伸ばしている。日本人選手も所属するイタリアの名門クラブ「ACミラン」と「インテル・ミラノ」が、中国の投資グループなどに相次ぎ買収された。
両チームとも世界的に有名ながら低迷続きで、強豪の座から脱落。「長期的視点を欠いた過去の放漫経営のツケ」と批判される。欧州連合離脱に揺れる英国でも、古豪クラブが中国投資会社の手中に収まった。
8月に日本の電機大手で初めて外資の傘下に入ったシャープ。不振企業の改革は自力では難しく、外部からの遠慮なき大ナタが業績回復への近道なのは確かだ。親会社である台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業グループから任命された戴正呉社長は「早期の黒字化を実現するため構造改革を進める」と鼻息荒い。
ただ組織再生のカギを握るのは企業もサッカークラブも最後は人だ。人材育成は一朝一夕にはいかず、近視眼的な経営は早晩行き詰まる。名実ともに強豪に返り咲くには、我慢が必要だ。
(2016/8/31 05:00)