[ オピニオン ]
(2016/9/26 05:00)
福島県郡山市に11月「ふくしま医療機器開発支援センター」が開所する。医療機器の開発から事業化までを一体支援する国内初の施設で、医療機器メーカーとモノづくり企業とのマッチングや、人材育成・訓練などの機能も併せ持つ。国が医療機器を成長産業の一つに位置づける中、同センターには関連する産業の発展の旗振り役として世界トップの医療機器開発の担い手となってもらいたい。
同センターは国が総事業費約134億円を投じ、医療機器産業を震災復興の柱に掲げる福島県が整備を進めてきた。敷地面積は約5万平方メートル。国内初となる大型の動物飼育実験設備を持ち、生物学的安全性試験から電気・物理・化学的安全性試験までを一元的に対応できる。
優良試験所認定基準「GLP」や、試験所の認証規格「ISO17025」など海外規格にも対応。実際の医療機関と同等の内視鏡装置や血管造影装置などを備え、各種手技の訓練や医療機器の開発・改良の促進が図れる。
業界の期待は大きい。従来、医療機器の有効性を評価する専門の試験施設は乏しく、生物学的試験では実験用ブタなどの飼育施設が必要となるため設備が大がかりになっていた。公共施設として、安定的に利用できるセンターの位置づけは大きい。とりわけ、医療機器産業への参入を目指す中堅・中小企業にとってはなおさらだろう。同センターが開発から事業化まで、医療機器開発への経験則を補う一大拠点となる。
元々、福島は全国有数の医療機器の生産県だ。医療機器生産額は全国第3位で、医療機器の受託生産額、医療用機械器具部品等生産額はともに同1位。オリンパスはじめ多くのメーカーが拠点を置き、福島県立医科大学など大学・医療機関も豊富。最近でもサイバーダインが新たな生産拠点を完成するなど産業集積の基盤がある。
全国で次世代産業として医療機器産業を育てる動きが活発化している。福島が成功モデルとなり、他地域の模範になることを期待したい。
(2016/9/26 05:00)
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