[ オピニオン ]
(2016/9/27 05:00)
プロ野球シーズンが終盤を迎えると、AMラジオ局は秋の新番組を公表する。多くは夕刻から夜のナイター中継の後継だ。再び球場からの実況が始まる来春まで、半年間電波に乗せる。
新番組といっても、初耳の題名ばかりではない。40年以上前から10月になると放送される演芸番組がある。出し物はラジオらしく落語などの話芸。東京のキー局から各地にネットされ、一部地域を除き東北地方の酒蔵が1社提供する。
カクテル光線の下、ビールで喉を潤す季節から、燗(かん)をつけた酒で暖まりたくなる気候へと変わる時期に番組がスタートする。秋から春先までしか放送できないという制約が、むしろ商品特性に合致して宣伝効果を高めるようだ。
酒どころの兵庫県・灘に本社を構える大手日本酒メーカーは、10年ほど前から毎年10月上旬に在京ラジオ局の人気番組とタイアップして演芸会を催す。ホールに番組聴取者を招き、落語などを楽しんでもらった後に試飲会で酒をふるまう。
こうしたイベントは酒造会社にとって販促活動の一つ。毎秋の恒例行事にしているのは効果ありと判断しているからだろう。秋の訪れとラジオと演芸。日本酒のうまさを引き立てる定番の組み合わせを今年も味わいたい。
(2016/9/27 05:00)