[ オピニオン ]

産業春秋/小さく消えない泡

(2016/9/28 05:00)

鴨長明は方丈記で「淀(よど)みに浮(うか)ぶうたかたはかつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」と世の無常を書いた。うたかたとは泡のこと。

泡は主に液体中に気体が含まれ表面張力で丸くなったものを指す。「あぶく」などの表現もあり、はかなく消えやすいものの意で用いられてきた。選挙のたびに現れる泡沫(ほうまつ)候補という言葉もある。

だが今は消えない泡の存在が注目を集めている。直径100マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下の微細な泡を指すファインバブルだ。さらに小さい直径100ナノメートル(ナノは10億分の1)以下はウルトラファインバブルと呼ぶ。いずれも、長期間液中にとどまるのが特徴だ。

ファインバブルは小さいがために液面に浮上せず、壊れにくい。負の電荷を帯び、液中の他の物質を吸着、除去する洗浄、殺菌効果がある。実際にNEXCO西日本は関連会社で超微細気泡生成装置を開発し、高速道路のトイレや橋の洗浄に活用している。洗浄のほかにも農産物や魚の生育促進などで活用が進められている。

バブルといえば大きく膨らみ程なく消えたバブル経済が思い浮かぶ。たとえ小さくともなかなか消えないファインバブル経済なら、待ち望む向きも多いだろう。

(2016/9/28 05:00)

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