[ 科学技術・大学 ]

ノーベル化学賞に欧米3氏−世界最小の「分子機械」開発

(2016/10/6 05:00)

スウェーデン王立科学アカデミーは5日、2016年のノーベル化学賞を、「分子機械」を開発した仏ストラスブール大学のジャン=ピエール・ソヴァージュ名誉教授と米ノースウエスタン大学のサー・フレイザー・ストッダート教授、蘭フローニンゲン大学のバーナード・フェリンガ教授の3氏に贈ると発表した。授賞式は12月10日にストックホルムで開かれる。賞金800万スウェーデンクローナ(約9500万円)は3氏で等分する。

世界最小の機械―。さまざまな形の分子を組み合わせて機械のように動かす研究が表彰された。ジャン氏は83年にリング状の分子を二つつなぎ、片方のリングの動きをもう片方に伝える機構を開発した。内歯歯車のように動きを伝達する。

フレーザー氏は91年にリング上の分子に1本の直鎖分子を通し、直鎖上をリングが動く機構を開発、シリンダーのように動く。この分子シリンダーを3本組み合わせて分子エレベーターを作成している。この研究は人工筋肉や分子演算素子の研究に広がっている。

フェリンガ氏は分子モーターを開発。特定の方向に分子を回転させた。このモーターを四つ組み合わせ、四輪駆動の自動車「ナノカー」を発表、世間を驚かせた。コンピューターの進化はナノテクノロジーの進展によって実現。分子レベルのモータやギアの開発はセンサーやエネルギー貯蔵システム、分子ロボットの実現につながる。

分子機械の研究では九州大学の新海征治特別主幹教授が候補に挙がっていた。80年に光応答性の分子機械を開発していたが受賞は叶わなかった。

【東京大学大学院理学系研究科化学専攻・大越慎一教授/素晴らしい】

素晴らしいと思う。分子モーター、先駆的な仕事をされた。機械のように動く金属錯体のカテナンという分子の研究で、分子機械の出発となった。分子は常に運動しているが、方向性がない。方向性を持たせることをやってみせた。

(2016/10/6 05:00)

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