[ オピニオン ]
(2016/11/7 05:00)
平日は家人に任せきりの洗濯。週末になると、命じられて朝から洗濯機に向かう。汚れ物に洗剤と柔軟剤を加え、スタートボタンを押すだけの全自動。ただ干すのは人力なので、やはり面倒くさい。
黙々と干していると隣家のベランダに人の気配。そんな時は、つい身を潜めたくなってしまう。なぜ決まり悪く感じるのか。きっと“良いお父さん”を演じているような照れくささがあるからだろう。
総務省の2011年社会生活基本調査によれば、男性が家事に割く時間は1日当たり42分。年々増えているとはいえ、女性の3時間35分とはまだ大きな格差がある。洗濯する姿を堂々と他人に見せることに抵抗のあるわが身の怯懦(きょうだ)が恨めしい。
もっともテレビCMの世界では、とうに男性が洗濯の主役に躍り出ている。俳優やアイドルだけでなく、名の知れたラグビー選手も登場して洗剤の効能をアピールする。洗濯機のCMでも男性が目立ち始めた。
現実はともかく、男性の家事は当たり前という考えがもはや大勢だろう。政府が提唱する働き方改革が進めば、意外に早く男女格差は縮小するかもしれない。ただ同じCMでも、イヤな臭いを発するのはたいてい男性の役。オジさんの立場は辛いままだ。
(2016/11/7 05:00)