[ オピニオン ]
(2016/11/9 05:00)
ハロウィーンのシーズンも過ぎ去り、東京の街は朝夕めっきり寒くなった。商店街の飾りつけや商品パッケージは晩秋を思わせるものに変わり、季節の移ろいを感じさせる。
この時期は食品売り場の商品も、ブドウや栗、リンゴなどをうたうものに彩られる。ただ実際に、これらの果実を原料に使う割合は数%。中には1%未満の商品もある。果汁ではなく香料や糖類で、それらしい味わいを出している。
食品の加工技術の進歩には違いないが、いち消費者としてはふに落ちない部分もある。折から政府・与党は、加工食品すべてに原料原産地を表示させることを決めた。この制度を品質向上と透明化に、うまく生かしたい。
“××ブランド牛肉”といった類の表示に、日本の消費者は弱い。単にイチゴ使用と表記するのと『とちおとめ』『あまおう』のような有名ブランド品種を明示するのでは、商品イメージに格段の差がある。だからこそ厳格なルールが必要となる。
高級ホテルのレストランが食材の産地偽装で危機に追い込まれたことは記憶に新しい。規模の大きな加工食品で産地を偽り、消費者の信用を失うことがあれば、その損失は計り知れない。商いの基本は、昔も今も「正直」である。
(2016/11/9 05:00)