[ オピニオン ]
(2016/11/23 05:00)
「ユビキタス」というIT用語が一般に知られるようになったのは、21世紀に入った頃だと記憶する。まだ携帯電話が通話主体の時代だ。近年は聞かなくなった言葉だが、実態が少しずつ現れてきた。
NTTドコモは15日から、福岡市と博多湾の能古島の間でドローン(飛行ロボット)を使った宅配サービスの実証実験を始めた。地上からの命令に通常の無線ではなく携帯電話の電波を使うことで遠方からの操作が可能となる。
駐車場の空き具合をスマートフォンで知らせ、予約から代金収納までをこなす低価格の装置も実証中。地面に敷く簡易な構造なので、イベント時だけの利用も可能という。他にも漁業の養殖場の水温などを計測して知らせる装置などもある。
いずれも全国に張り巡らした携帯の電波網の新しい使い方を模索した結果だ。同社にとっては通信以外のサービスの開拓という意味もある。ロボットやIoT(モノのインターネット)を考えれば、多くの可能性がありそうだ。
見える景色も吹く風も変わらないが、わずかな年月の間に大気は情報で満ちた。電波の向こうで働く人や機械が、豊かな生活を支えてくれる。そんな存在に感謝の気持ちを持つべき時代が、すでに始まっている。
(2016/11/23 05:00)