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[ 自動車・輸送機 ]
(2016/11/28 05:00)
慶応義塾大学の大槻知明教授らは、ドップラーセンサーを応用し、電波によって心拍やまばたきを非接触で検出するアルゴリズムを開発した。ドライバーの疲労度や眠気、集中力などを推定できる。非接触でまばたきを検出する技術は、国内で初めて。高齢者や長距離ドライバーの運転安全性などを確保する技術として、自動車メーカーと実用化を目指す。
ドップラーセンサーは、人の微細な動きに反応するドップラー効果を利用したセンサー。車の運転席周辺に同センサーを設置し、心拍やまばたきなどによって生じるドップラー周波数の変化を、雑音の低減や信号の識別などの信号処理技術によって、高精度に検出する。
心拍と人の精神状態には相関があり、心電図波形を周波数解析するとその状態をある程度推定できる。通常、心拍は動きのない状態で計測する。運転時など体の動きがあると数値の変動が大きく、従来は正確に計れなかった。
今回、体の動きの影響を取り除く技術などを開発。デスクワーク時を想定した実験では、通常の心電計を体に装着して計測した場合に比べて誤差が数%と同等の精度を確保した。
非接触のまばたき検出技術は、まばたきの回数などから、疲労度や眠気などを推定できる。従来のように、カメラの設置やメガネの装着などが不要なため、安価で導入時の心理的な負担も少ない。同様の環境を想定した実験で、まばたきの回数をほぼ100%の精度で計測できることを確認した。
運転時の安全性の確保のほか、デスクワーク時の集中力や快適性の把握、ストレス度の指標としても使える。心拍、まばたきに加えて呼吸の検出も可能。
今後、複数の項目を同時に検出するアルゴリズムをモジュールに実装し、数年内にも実用化へつなげる。12月16日に東京・丸の内の東京国際フォーラムで開く「慶応科学技術展」(日刊工業新聞社後援)で発表する。
(2016/11/28 05:00)