[ オピニオン ]
(2017/1/5 05:00)
2025年の万国博覧会の大阪誘致が昨年末、国家的なプロジェクトとして位置づけられた。新年にあたり、関西の行政や産業界は自らが誘致機運を醸成し、盛り上げる決意を新たにしてもらいたい。
長期の地盤沈下は地方経済の共通の悩みだ。関西も例外ではない。地元企業の本社機能が東京に移転し、関西に来る学生より流出する学生の方が多いなど縮小傾向が止まらない。格安航空会社(LCC)を活用した訪日外国人旅行者の数は伸びているが、いまだに東京に集中するヒト・モノ・カネ・情報の流れを止められない。
そんな中で、国による万博誘致が本格化したことは関西にとっては朗報だ。また先の臨時国会で、万博開催に大きく関係してくる統合型リゾート(IR)法が成立した。カジノそのものには産業界にも賛否があるが、外国人客にとって魅力的な施設を整備することは重要だ。
さらに昨年はリニア中央新幹線の大阪開業の最大8年前倒しが決まり、敦賀以南の北陸新幹線が小浜―京都ルートで決着した。大阪市内に目を転じればJR大阪駅北側の「うめきた」やビジネス中心地「中之島」の再開発が注目されている。「関西経済が再浮上するチャンスが数多く見られる」と関西経済同友会の蔭山秀一代表幹事は話す。
しかし最も大きなチャンスとなる万博誘致については、いまひとつ盛り上がりに欠けているのが実情だ。本来なら鉄道もリゾート施設も万博を絡めた大きなビジョンを描きつつ整備を進めるべきだが、一般住民にそうした新たな価値を伝え切れていない。また万博の多大な費用負担が、地元産業界の足並みを乱れさせている。
万博誘致の主導権は今後、国に移る。とはいえ地元に熱意がなければ先日、ライバルに名乗りを上げたフランス・パリに勝てるかどうか疑問だ。
誘致を成功させるには、関西の行政や産業界が早期に一枚岩となり、機運の醸成を図るべきだ。それでこそ内外の支援を獲得できる。2017年は、行動を始める年だ。
(2017/1/5 05:00)