[ オピニオン ]
(2017/3/3 05:00)
発展途上国では工学系の専門職を目指す女性が少なくない。特にインドでは上流階級の子女に人気だ。対照的に日本は工学系人材の女性比率が低いが、これは先進国共通の傾向。
一般に経済成長社会では理工系人材が重宝され、収入も高い。インドでは、これが女性の社会進出と結びついた。加えて「家政婦を雇いやすい環境も専門職志向を後押ししている」と千葉商科大学教授の橋本隆子さん。
情報科学を専門とする橋本さんは、電気・電子技術の国際学会「IEEE」の工学女性委員会(WIE)に長く関わる。アジア地域の活動ではインドはじめ多くの国の女性と、子育てや昇進差の問題を議論した。
WIEの世界トップに就任してからは「別の負担があった」。先進国の女性技術者は議論が達者。英語で容赦なく反論や要求を畳みかける。その主張を聞き取り、口を挟み、さばくことの大変さに自信を喪失し、落ち込んだことも。
役員選では立候補する度胸自体が「日本人女性では希少」といわれたとか。今の仕事は会員増強の委員会の世界トップ。世界的な学会メンバーの減少傾向の中で、WIEは年約10%も増えている。きょうはひなまつり。後進の“工学女子”が健やかに育つことを祈ろう。
(2017/3/3 05:00)