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[ 科学技術・大学 ]
(2017/4/7 05:00)
日本版GPS(全地球測位システム)の本格稼働が1年後に迫る中、内閣府の準天頂衛星システム「みちびき」の測位衛星2号機が公開された。2017年秋ごろをめどに国産ロケット「H2A」で同機を含む3機の測位衛星が打ち上げられ、先に稼働中の初号機を含め18年度から4機体制となる。米国のGPSや欧州の測位衛星「ガリレオ」などライバルと差別化し、日本独自の新産業の創出が期待される。(冨井哲雄、福沢尚季)
日本では、複数の衛星からの信号を受け取り地上の位置と時刻を特定する「衛星測位」を米国のGPSに頼っている。だが仮に故障などでGPSが使えなくなった場合、経済社会活動に大きな影響が出るため、日本独自の測位衛星システムの構築が急がれていた。
準天頂衛星システムの開発の意義について、内閣府宇宙開発戦略推進事務局準天頂衛星システム戦略室の守山宏道参事官は、「衛星測位はIoT(モノのインターネット)、ビッグデータ(大量データ)と関わり産業の基盤となるため、各国が競争している。宇宙の利活用において、国際的にも先駆的な立場にある」と強調する。
地上の位置の特定には最低4機の衛星から信号を受信する必要があり、18年度に日本でもようやく基本的な体制が整う。23年度には7機体制となり、米国のGPSに頼らずに済む体制となる。
日本の衛星測位システムは衛星数が他国より少ないものの、位置精度は数センチメートルと、他国の位置精度1メートル以上と比べ、優位性が大きい。こうした利点を生かし、自動運転分野などに生かしていく。
衛星測位システムを利用した国際連携の動きも進む。内閣府と欧州委員会は3月、測位衛星の民生利用に関する協定を締結。日本のみちびきと欧州のガリレオを活用し、自動運転や農業、危機管理などの分野で協力することにした。
協定と同時に開催されたシンポジウムでは自動車や農業、建設の分野において、企業や研究機関が衛星測位を利用した具体的な事例を紹介している。産業化に向けた取り組みが加速しており、世界との競争で日本が優位に立てるのか正念場を迎えようとしている。
(2017/4/7 05:00)
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