[ オピニオン ]
(2017/5/1 05:00)
4月に新生活を始めた大学生も、ようやく慣れてきた頃だろう。先日お会いした大学教授いわく「新しい1年生は“脱ゆとり世代”の最初の学生」。先輩の“ゆとり世代”とは全く違うらしい。
顕著な差は「コミュニケーション力」。詰め込み教育の反動から生まれたゆとり世代は、英単語や円周率に代表される単純記憶型の知識が不足する。しかし新たな学習指導要領で教わった新世代は、一定程度を備える。だから中高年との会話も円滑に進みやすい。
インプットが不足すれば、アウトプットの質の向上は難しい。実社会では当然だが、それが一時期の教育現場では常識とされなかった。ゆとり教育のもたらした世代間の断層に、教育行政のひずみをみる。
日本郵政グループや東芝が、買収した海外子会社の巨額損失に苦しんでいる。事前に十分な情報をインプットしないまま話題になりそうな大型買収に突き進み、結果的に予想を大きく踏み外すアウトプットを招いた。
ゆとり世代は、社会に出てから苦労して常識と教養を身につけ、着実に戦力になりつつある。企業も、次の挑戦では十分な情報収集をするはず。海外事業に懲りて国内に引きこもる“ゆとり企業”とならないことを願う。
(2017/5/1 05:00)