[ オピニオン ]
(2017/5/11 05:00)
朝鮮半島情勢が緊迫しているだけに、日米韓共助を崩さないことが大切だ。産業界の立場では、韓国内の反日感情があおられて企業活動に支障が生じることを恐れる。
韓国の第19代大統領に10日、文在寅(ムン・ジェイン)氏が就任した。朴槿恵(パク・クネ)前大統領の退陣表明と、その後の弾劾決定による5カ月以上もの政治空白が解消された。北朝鮮と周辺国の対立が深まる中で、当事者である韓国の新体制が負う責任は重い。
文氏は盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の側近であり、9年ぶりの革新系政権だ。反日・反米性向の一方で、北朝鮮に対して融和的な公約を掲げてきた文氏の執権は、東アジアの平和と安定に一石を投じることになろう。
ただ周辺各国が北朝鮮の軍事的挑発に対する圧力を強める中で、文新大統領のとりうる政策は限られる。国内の反米感情を追い風とした盧武鉉政権とは国際情勢が違う。米韓同盟を軸に、トランプ政権との協調を迫られるはずだ。かつて北朝鮮の核武装を助けた「太陽政策」の誤りを繰り返すべきではない。
一方で日韓関係は「絶望的」というのが事前の通商関係者の認識だ。朴前大統領は歴史問題での対日圧力を基本政策とし、訪日すら拒んだ。それでも任期後半にはやや融和に転じ、慰安婦問題で日本の再度の謝罪に基づく最終合意を引き出した。
文新大統領は、その慰安婦合意の破棄を主要な公約に掲げている。もし今後、対米、対北朝鮮政策に行き詰まれば、さらに対日強硬姿勢に傾斜する恐れがある。冷え込んだ日韓関係は破たんしかねない。
日本としては、歴史問題にせよ竹島の領土問題にせよ、原則に基づいて対応するしかない。
ただ産業界には、両国間の緊張が企業活動を妨げることへの懸念がある。特に第二次大戦末期の勤労動員について、韓国内では日本企業に賠償を求める訴訟がいくつも進んでいる。日韓基本条約による「解決済み」の約束すらほごにされては、正常な経済活動など望めない。
当面の日韓外交は、実利をベースにすべきである。
(2017/5/11 05:00)
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