[ 科学技術・大学 ]

超小型衛星が拓く・宇宙開発(14)スペースシフト−衛星作製教材キット化

(2017/5/12 05:00)

  • アートサットのイメージ(スペースシフト提供)

  • 衛星基板をパソコンに接続し、プログラミングや動作試験を行う(スペースシフト提供)

宇宙開発ベンチャーのスペースシフト(東京都港区、金本成生社長)は、組み立て可能な超小型衛星キット「アートサット・キット」を人工衛星の製作技術習得用の教材として教育機関への普及を目指している。衛星をキット化することで低価格を実現。すでに大学などに5機の販売を契約。現在、衛星基板の製造を終え、出荷に向け動作検証中だ。

キットには電子部品実装済みの基板や太陽電池、アンテナなどがそろう。衛星の機能として、地上との通信やユーザープログラムの軌道上での実行、カメラによる撮影などが行える。

衛星の大きさは10センチメートル四方の立方体で質量は2キログラム。価格は80万円(消費税抜き)で打ち上げ費用は別。今まで海外から人工衛星のキットを買うことはできたが、価格が100万円以上でマニュアルが英語であり、利用へのハードルが高かった。

東京大学と多摩美術大学が共同作製し2014年に打ち上げた衛星の設計を基に同キットを製作。金本社長は、「動作実績のある衛星の設計を人材育成や事業開発に活用できるのではと考えた」とプロジェクトのきっかけを話す。

今後、教育プログラムや打ち上げの手配などをパッケージ化し、理系教育プログラムとして販売する考えだ。さらに「東南アジアを中心に航空宇宙工学の人材育成事業を行っていく」と海外展開にも意欲をみせる。

(冨井哲雄)

(金曜日に掲載)

(2017/5/12 05:00)

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