[ ICT ]
(2017/7/7 05:00)
米ゼロックスの100%出資子会社のパロアルト研究所(PARC、カリフォルニア州)は日本企業を対象に、IoT(モノのインターネット)プロジェクトを推進するリーダー人材の育成支援に乗り出す。IoTを活用して付加価値の高い包括的な事業戦略を生み出すことを目的に、個別企業に合わせたワークショップ(研修会)の形式で行う。多角的な視点から思考を深める戦略デザイン手法を学んでもらう。早ければ9月にも開始する予定。
具体的にはPARC東京オフィス(東京都品川区)が事前に参加企業の既存の事業戦略や目的について調査した上で、2日間のIoTデザインワークショップを実施する。1企業当たり20人程度の参加を想定。内容に応じて、PARC本社からテーマに関連性の高いサイエンティストを派遣する。
その後、PARC側で集合教育の内容を分析し、トレーニングのアドバイスを行う。さらに企業側から要望があれば、PARCとの共同研究にもつなげていく。
PARC日本代表の伊賀聡一郎氏は、「IoTの戦略づくりでは技術論ありきではなく、どうやって顧客に新しい価値を提供し、社会にインパクトをもたらすかという『問いかけ』がまず重要になる」と話す。潜在的な顧客価値の創出に向けた問いを参加者から引き出すことに主眼を置くとしている。
PARCはゼロックスの研究部門としてシリコンバレーに1970年設立され、2002年に全額出資子会社となった。レーザー印刷やオブジェクト指向プログラミング、イーサネット、パーソナルワークステーション、ユビキタスコンピューティング、WYSIWYG(印刷した時と同じイメージを画面に表示できる機能)、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)などの発明やビジョンの提唱で有名。
さらに、文化人類学や社会人類学のフィールドワークでコミュニティーでの行動様式を記述し、その価値観を見出すエスノグラフィ(民族誌学)を企業の課題解決の手法として発展させたパイオニアでもあり、東京オフィスでは企業エスノグラフィを活用したイノベーション・ワークショップも開催している。
(2017/7/7 05:00)