[ オピニオン ]
(2017/7/11 05:00)
WE ARE STILL IN(我々は留まる)―。シンプルなメッセージが掲げられたウェブサイトに1600以上の企業、大学、州、都市の名前がずらりと並ぶ。
6月に米国のトランプ大統領が地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」からの離脱を宣言した直後に開設された。アマゾン、アップル、マイクロソフトなど米国を代表する企業がサイトのメッセージに賛同した。
環境保全団体のWWFジャパン(東京都港区)事務局長の筒井隆司さんは「政権に反旗を翻すことは勇気がいる」と、賛同企業の行動をたたえる。大統領の“ツイッター攻撃”をうける恐れもあるからだ。
先週末、ドイツのハンブルクで開いた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)では各国代表からパリ協定離脱への反対意見が相次ぎ、気候変動問題に対する米国の孤立が鮮明になった。首脳宣言には「(協定は)不可逆的」と盛り込んだ。
温暖化対策のための規制強化や投資が産業界にとって重荷であるのは、どの国でも同じ。「米国第一主義」を掲げ、独善的ともいえる政策を展開するホワイトハウスに、勇気ある企業や自治体の声は届くのか。今のところトランプ氏には前言を撤回する勇気はなさそうだ。
(2017/7/11 05:00)