[ オピニオン ]
(2017/7/25 05:00)
南米原産で強い毒を持つ「ヒアリ」が、国内の主要港などで相次いで発見されている。海上コンテナの内部に侵入して繁殖したとみられ、数百匹見つかった例もある。
無視できないのは物流への影響だ。海上コンテナは耐久性があり荷役の手間を省けるため、1960年代後半から普及した。近年はコンテナ船の大型化が進み、国内でも1万TEU(1TEUは20フィートコンテナ)以上積載できる船が多く入港している。
内陸部の工場地帯まで、外国の海運会社のコンテナが運ばれてくることも少なくない。学校や公園など、子どもが多く集まる場所で繁殖したらと思うとゾッとする。
すでにヒアリが定着した米国では人的被害に加え、経済損失が50億―60億ドルにのぼるとの試算もある。日本でもコンテナを利用した大量物流が困難になれば、経済活動に支障が出るのは想像に難くない。
過剰に騒がず、まずは専門家による徹底した防除と駆除の対策を待ちたい。四方を海に囲まれた日本は、海外から持ち込まれる感染症などに対処しやすい環境だ。グローバル化の進展により、ヒアリのような問題は今後も生じるだろう。貿易や海外旅行を恐れるのではなく、しっかり水際阻止するための知見を期待したい。
(2017/7/25 05:00)