[ オピニオン ]
(2017/8/10 05:00)
先週来、葉物野菜の値上がりが目立つ。自宅近くのスーパーのレタスには前の週の倍の値札がついていた。大雨を降らせつつ列島を縦断した台風5号の影響で今後、農産品の供給がさらに不安定になる懸念がある。
“数十年に1度の大雨”といった表現が珍しくなくなった昨今。異常気象で思い出すのは昨年、北海道を襲った台風10号によるジャガイモ不足だ。店頭からポテトチップスが姿を消し、サラダや総菜メーカーなどは対応に追われた。
品不足になれば調達コストが上昇する。ここ数カ月でみても輸入製品が主力の乳製品、オリーブ油などが値上がりしている。干ばつや大雨による農産物の不作、中国や新興経済国の購買需要の増加、そのどちらも原因だろう。
ポテトチップス騒動の際、メーカーは全国のあちこちでジャガイモ確保に走り、ようやく生産は回復に向かっていると聞く。生食用を重視し、加工向け出荷を渋っていた農家も、継続的に買ってくれるならばと協力した。農家と企業との新たな“連携”が始まっている。
農家と長期契約を結び、天候不順による品不足時でもさほど影響を受けなかったサラダメーカーもある。品不足は加工側と生産側が信頼を築く好機かもしれない。
(2017/8/10 05:00)