[ 政治・経済 ]
(2017/8/22 05:00)
文部科学省は大型産学連携プロジェクトを統括する民間出身者や教員に、高額報酬を支払える仕組みを2018年度に導入する。大学が新設する「オープンイノベーション(OI)機構」(仮称)に高額報酬の原資として助成金を付ける。成果に応じて、民間出身者の場合で従来の教員の2倍以上の年収2500万円程度を支払え、教員にも上乗せできる給与制度を整備する。民間資金獲得の成果に応じて支払う仕組みを初めて整備し、産学連携を活性化する。
文科省の新規事業として、18年度予算の概算要求で15億円程度を盛り込む。
高額報酬を設定する対象は、民間で実績のある産学連携プロジェクトの管理者「プロデューサー」と、各プロジェクトの大学側担当者の教員。プロデューサーと教員が一体となり、事業化を見据えた1社当たり年数千万―数億円の大型共同研究を立ち上げ、運営管理する。
プロデューサーは大学の技術を核に市場ニーズ分析、ビジネス戦略立案、事業化シナリオ提案、企業への営業などを実施する。従来の産学連携部門のマネジメントリーダーの報酬は最高でも大学教授と同水準の年1000万円程度だったが、これを上回る額を支払う。
教員は大学の研究活動を中心にプロジェクトをまとめる。教員の給与は関与時間に応じて企業の人件費相場で計算して上乗せする。このため運営費交付金による通常年収より2割増などで払うことも可能になる。
プロデューサーの人件費などを含むOI機構の運営費として、当初は旧帝大などを中心に複数の大学に年間各2億円を5年間支援する。一方、プロジェクトの研究費は企業などからの資金を活用する。
文科省はこの仕組みの支援組織「経営支援チーム」を省内に設置。海外事例など参考に専門家が評価の枠組みなど助言する。
政府は産業界から大学などへの投資3倍増を目標に掲げている。ただ、従来の給与体系では優秀な人材を民間から集めるのが難しいことがハードルの一つとなっていた。
(2017/8/22 05:00)