[ オピニオン ]
(2017/8/22 05:00)
久々に帰省し、ふるさとが大きく姿を変えてしまったことに驚いた経験はないだろうか。豊かな自然や風情のある町並みを、長く残すにはどうすればいいか。
この夏、「日本で最も美しい村」連合に加盟する山形県の2町村を訪ねた。開湯から1200年以上の歴史を持つ大蔵村の肘折温泉地区では、東北芸術工科大学と連携したアートプロジェクト「ひじおりの灯」が今年11回目を迎えた。
雪解けの季節に同大の学生らが滞在し、地域の自然や歴史などの物語を灯籠絵に描く。それを八角形の釣灯籠として灯し、夏の温泉街で展示する。今年は9月18日までの予定で、湯治客の目を楽しませてくれる。
飯豊町は山形大学などと連携し、リチウムイオン電池の開発から試作評価まで取り組む研究施設を2016年に稼働。作業機械の専業メーカーと共同で、町内の生産者をモニターとして、リチウム電池を搭載した電動農機具の実証試験を始めた。「景観が美しいだけでなく、新たな特色がなければならない」と町長の後藤幸平さん。
両町村とも既存の地域資源を守るだけでなく、企業や県内の大学に連携の輪を広げることで日本の原風景を未来に持続させようとしている。その挑戦を心強く思った。
(2017/8/22 05:00)