[ オピニオン ]
(2017/8/30 05:00)
防災週間が30日に始まる。9月5日までの期間中に各自治体が中心となり、災害発生に備えた訓練が行われる。ただ大規模災害では、行政だけでは手薄になるという指摘もある。民間企業でできることは民間に任せる仕組みを検討してはどうか。
総合防災訓練のメニューには避難所の開設や運営も含まれる。内閣府や自治体が策定したマニュアルに従い、自治体職員が中心になり避難所を開設し、自治会など地域住民組織が主体的にかかわる運営体制を試す。参加者はいつか自分が直面するかもしれない災害を意識して真剣に臨むだろう。
だが実際の大規模災害発生時には、被災自治体の職員は押し寄せてくる業務で手いっぱいとなる。住民も自らが被災者であり、十分な運営体制がとれない可能性がある。
ならば民間企業が組織力、機動力を生かして、避難所運営を請け負えないだろうか。広域に拠点を持つ企業なら、被災地外から社員を派遣して要員を補える。企業が持つ情報システムを活用して、避難者の管理や支援物資の分配を効率よく的確に行うことも可能だろう。
ただ実際に被災し、避難所を運営した経験を持つ、ある自治体の社会福祉担当者は「避難者の個人情報を扱うので、民間企業には運営を任せられない」と話す。避難者一人一人の事情に応じた支援をするため、通常は行政機関しか扱わない個人情報に触れることになるからだ。
どこまで民間企業に任せるのか、どの企業に任せるのか、費用をどこから捻出するかなど、平時に調整しておく必要がある。企業側にとっても、いつどこで起こるか分からない災害に即応する体制を構築しなければならないなど、検討すべき課題はあるだろう。
公共施設の管理を民間委託する指定管理者制度は盛んに活用されている。プライバシーに配慮しながら民間委託することは可能だ。災害多発国の日本で、防災はオールジャパンで対応すべきであり、官民の役割分担を整理した上で、民間委託の仕組みを検討すべきだ。
(2017/8/30 05:00)
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