[ オピニオン ]
(2017/9/5 05:00)
巨大災害に襲われた際に、何を差し置いても確保しなければならないのは、食料と飲み水だろう。この大切な飲み水のうち、ペットボトル入り飲料の流通在庫は、全国民の11日分しかないそうだ。
メーカーも小売店も、在庫を極力減らす傾向にある。「巨大地震の発生後、ペットボトルの飲料が全国から姿を消すかもしれない」。防災学の第一人者で関西大学特別任命教授の河田惠昭さんは、平素からの備蓄の重要性を説く。
避難所でも安心はできない。昨年4月の熊本地震では、政府からの支援物資を受け入れる熊本県の施設が被災し、避難所への輸送に混乱が生じた。河田さんはこうした事態も想定して「住民らが水と食料を数日分だけでも持参し、避難所に向かえばいい」と指摘する。
河田さんによると、国の防災対策は被災者が何万人などの被害想定を示すだけで、具体的にどのような危険が潜んでいて、どう対処すべきかが明確でない。「住民らがこう行動すれば、被害をこれだけ防げる」という行動基準がないという。
食料・水不足を含め、巨大災害で直面する危険を回避し、被害を減らすために国民や産業界はどう行動すべきか。綿密なシナリオに基づく新たな対策づくりが急務だろう。
(2017/9/5 05:00)