[ オピニオン ]
(2017/9/20 05:00)
栃木県を流れる清流・男鹿川。東京・浅草から電車で行っても、それなりに釣果に恵まれ、20年ぐらい前から通うようになった。ただ鬼怒川の堤防を決壊させた2年前の豪雨は、その支流であるこの川にも被害を及ぼした。
日光市中三依で、そば屋とロッジを経営する塩生雅典さんは「地下水をくみ上げるポンプは壊れ、冷蔵庫は流され、店をやめようと思った」と振り返る。救ったのは常連の釣り人だった。「男鹿川には世話になった」と、職人を引き連れてポンプを交換してくれた。
釣り場の再生を目指す復活プロジェクトの第3弾として、地元漁協や県水産試験場も参加し、30日にイワナの産卵床づくりや放流、河川清掃が行われる。以前にも手伝ったことがあるが、特筆すべきは釣りをしない人もボランティアで参加する点である。
確かに最近は釣りよりも散策したり、地元料理を目当てに来る人も多い。自分も塩野さんやロッジに集う仲間らと語らうのが楽しみで訪れる。
無理に特産品などをつくるより、既存の資源を熟成させることで地域を再生しようという姿勢にたくましさを感じる。釣り人にとっては、秋から冬にかけての禁漁期間の楽しみができたことが何よりもありがたい。
(2017/9/20 05:00)