[ オピニオン ]
(2017/9/21 05:00)
ルッコラ、ズッキーニ、黒キャベツ…。欧州原産の野菜は、苦みやえぐみが持ち味。ワインやチーズはもちろん、油を多用する中華料理にもなじむ。
さいたま市内の農家11軒による「欧州野菜」栽培が勢いづいている。夏の日照不足で生育が遅れた品種もあるが、2013年度に100万円程度だった売上高は17年度は7000万円に達しそうだ。
生産者の平均年齢は36歳。以前は小松菜などを手がけていた。「農家を継いではみたが、手間の割に稼ぎが少ない」といったぼやきを一蹴したのは「地元で作ってほしい」というイタリアンやフレンチの料理店の声だった。客の評判を聞きながらの多品種少量生産。自由に値付けできる一方で、生産者が連携しないと安定供給できない。
試行錯誤を重ねてきた陰には、さいたま市産業創造財団の存在がある。種苗会社や食材卸などを巻き込んで「さいたまヨーロッパ野菜研究会」を組織し、農家には縁遠かった原価管理や栽培管理、参加交流サイト(SNS)の活用を支援した。
10月には市内のイオン5店舗で、調理方法の実演を交えた小売りを試行する。「本場欧州よりおいしい野菜」を合言葉に、都市型農家自体をブランド化する取り組みを応援したい。
(2017/9/21 05:00)