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[ 科学技術・大学 ]
(2017/9/20 05:00)
大阪府立大学大学院工学研究科の牧浦理恵准教授らは、ナノサイズ(ナノは10億分の1)の物質による多層薄膜を常温常圧で容易に構築できる技術を開発した。研究グループが持つ水面にナノサイズの分子膜を作る技術を応用。結合様式を工夫し、縦方向に分子を積み上げることに成功した。有機薄膜太陽電池の作製などで理想的な構造の材料の開発につなげていく。
研究グループは、π電子(原子間の結合方向と垂直に伸びる電子軌道)の相互作用により、積層されやすいフラットな形状の分子を使うことでナノシートの多層化を実現。
分子間の連結後も平面性を保ち、構造が崩れない。水面で平らに分子を散布してシートにするため、有機溶媒に分子を完全に溶かしつつ水と混和しない種類を選んだ。分子が塊状の凝集体になることや、水中に溶け込むのを防いだ。
研究グループは、工業分野で実用化しやすいよう、一般的な環境でのナノ構造材料の創製に注力。太陽電池材料を重点テーマの一つとしてきた。横方向の結合のみの薄膜は開発していたが、電子の動きが必要な太陽電池材料では厚みが不可欠だったため、縦方向に立体的な分子の結合がある多層構造の開発を進めていた。
横方向が水素結合なのに対し、縦方向ではπ電子を活用し、方向により結合様式を変えることで立体構造を実現した。水面上にシートを形成するため、低コストで作業後の廃棄もしやすい。
(2017/9/20 05:00)
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