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[ 科学技術・大学 ]
(2017/10/17 05:00)
【京都】京都工芸繊維大学は、3方向へ接続可能な端子を持ち、交流(AC)・直流(DC)を効率的に変換できる「Y字型電力ルーター」の実証実験を10月末に大学敷地内で始める。次世代の電力ネットワーク構築を目指し、特定地域間の電力融通に加え、電気自動車(EV)同士を接続した充電システム、IoT(モノのインターネット)インフラ向けサーバーへの電力供給などを想定。大手企業や地元の中小企業、京都市を巻き込んだ実証実験を重ねる。
松ケ崎キャンパス(京都市左京区)内の研究棟に、出力10キロワットのY字型電力ルーターの試作品8台を設置。制御プログラムによる各ルーターの連係動作を中心に検証する。
開発したソフトウエアの検証が主体だが、EVと接続した実証実験も行う。実験は京都工繊大の門勇一教授を中心に、充放電装置の設計・製造を手がけるアイケイエス(同中京区)や大手電機メーカー、大手ゼネコンなどと共同で進める。
実験を通じ、EVの電力を別のEVに供給する充電システムへの応用を探る。電力ルーター内部を絶縁構造にして安全性を高め、実用化を目指す。
また、より高度なIoT社会の実現には、通信遅延を短縮する目的の「エッジサーバー」の普及が不可欠とされる。実験では、同サーバーへの電力供給を実現し、安定的なIoTインフラの構築に貢献する。
Y字型電力ルーターは、三つの接続ポートを持つDC/DC変換器が中核部品。各ポートにはAC/DC変換ユニットの着脱ができる。蓄電池と太陽光パネル、電力系統などをつなぎ、多様なネットワーク構成を実現する。京都工繊大は、電力ルーターの課題とされてきた複数台接続時の動作制御の研究で強みを持つ。
(2017/10/17 05:00)