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[ 科学技術・大学 ]
(2017/10/27 05:00)
慶応義塾大学医学部の岡野栄之教授と順天堂大学大学院医学研究科の赤松和土特任教授らは、ヒト多能性幹細胞に三つの小分子化合物を加えることで、分化能力を促進する技術を開発した。分化速度がゆるやかなiPS細胞(人工多能性幹細胞)の分化速度を上げ、高効率に目的細胞への分化を促進できる。再生医療や医薬品開発を加速させる技術として期待される。
ヒト多能性幹細胞の培地に、3種の化合物を5日間添加すると、分化促進された状態「CTraS」(シトラス)へと誘導される。
従来手法では目的細胞への分化に60日以上要していたのに対し、シトラス誘導を受けた細胞では23日に短縮した。分化しにくい株も目的細胞への分化効率が上昇していた。
また、家族性パーキンソン病といった神経変性疾患患者由来のiPS細胞を用い、シトラスを介して神経細胞へと分化させたところ、病態を短期間で再現できたという。
岡野教授は、「iPS細胞の産業化にはコストダウンへの課題がある。課題解決に重要な技術だ」と話す。
成果は27日、米科学誌ステム・セル・リポーツに掲載された。
(2017/10/27 05:00)