[ オピニオン ]
(2017/10/27 05:00)
第45回東京モーターショーが27日開幕する。自動車の過渡期にあって、メーカーが一方的にクルマの未来を提案するのではなく、来場者とともに考える。そんなショーになりそうだ。
外部の社会やシステムとつながるコネクテッドカーや、車の電動化は引き続き大きなテーマになる。一方で、景気拡大が続き、スポーツタイプの車両の出品が多い割には、いまひとつ華やかさが感じられない。
メーカー各社の出品車両を眺めていて感じるのは、いざなぎ景気を超える長期の景気拡大期にある割には、それをあまり反映していないということだ。
高級車で目立つのは、トヨタ自動車の「センチュリー」の新型や「クラウン」のコンセプトモデル、レクサスの最上位セダン「LS」、そしてホンダの「レジェンド」くらい。海外勢ではイタリアのアルファロメオや英ジャガーランドローバーといった高級ブランドが、今回出展を取りやめた。
むしろ目立つのが、電気自動車(EV)のように環境に優しいクルマ。ホンダはスポーツカー、三菱自動車とスズキはスポーツ多目的車(SUV)、ダイハツ工業は小型商用車でEVのコンセプトモデルを出品する。
自動車業界にはバブル経済の時に経験した華やかさを懐かしむ声が根強くある。日産自動車の高級車「シーマ」が売れに売れ、ホンダはスーパーカー「NSX」を発売。マツダも5チャンネル体制を敷いて数々のユニークな車を送り出した。
東京モーターショーの来場者数も、バブル末期の1991年の201万8500人が過去最高。リーマン・ショック直後の09年に61万4400人に落ち込み、回復は見せているが100万人には届いていない。
今は若い人を中心に車の楽しみ方が大きく変わっていく時期にある。大きくてかっこいいだけでなく、環境負荷の低さはいい車の必要条件になった。
車を持たずに使うシェアリングという乗り方も普及していくはずだ。各社の展示からは、そうした未来への手探り感が伝わってくることだろう。
(2017/10/27 05:00)