[ オピニオン ]
(2017/10/27 05:00)
「自動運転は人間との戦いになる」と、ある自動車メーカーの技術者は語る。車が自動で走って止まり、障害物を避けて目的地までたどり着くことは技術的にそれほど難しいことではないそうだ。
ただ、現実社会では車や歩行者の飛び出しなど不測の事態が起こる。自動運転が導入しやすいとされる高速道路でも、人が運転する非自動運転車が混在すれば“想定外”は起こり得る。万が一の事故の場合の責任の所在など、クリアすべき課題は多い。
完全自動運転は、すでに実用化されている運転支援とは技術以外の面でも、別次元の難しさがある。自動車メーカーによりアプローチは異なるが、その技術者は「完全自動運転を研究しながら、完全な運転支援を目指すのが現実的だ」と本音を語る。
27日に開幕する東京モーターショーでも、自動運転技術が脚光を浴びそうだ。消費者が求めるのはロボットのように賢い車か、車の形をしたロボットなのか。自動運転が実用化されていたら最近、相次いでいる危険運転による事故は防げただろうか。
世界の自動車メーカーが最先端技術を競演する夢の舞台。それは同時に、自動運転に何を、どこまで求めるかを消費者に問いかける現実的な機会でもある。
(2017/10/27 05:00)