[ オピニオン ]

産業春秋/バイオマス発電で明るい未来

(2017/11/3 05:00)

再生可能エネルギー固定価格買い取り制度が始まったのが5年前の夏。発電設備の導入は年平均で30%近く伸びている。一方で電気料金に上乗せされる賦課金は、電力使用量300キロワット時の標準家庭で2012年度の月額66円が、17年度は同792円と10倍以上になった。

バイオマス発電事業を始めるため昨年、ハナブサ(東京都千代田区)という会社を設立した会長の佐藤忠男さん。茨城県神栖市に土地を確保、パーム油を燃料に4基で計11万2000キロワットの発電所を建設する計画だ。

佐藤さんはもともと電気が好きで、大学で学びたかった。ただ最終的に家業の呉服仕立て業を継いだ。72歳になって昔の夢に挑戦するのは、金もうけをしたいからではもちろんない。

再生可能エネルギー発電は国民の賦課金に依存している。このため「発電で利益が出れば社会に還元すべきだ」と佐藤さん。来年中にNPO法人を設立し、貧困家庭の子供たちの生活・教育費や、資金繰りに苦しんでいるベンチャー企業の支援に充てたいという。

「将来を担う子どもや起業家を支援し、閉塞(へいそく)感漂う日本に活力を取り戻したい」と話す。バイオマス発電で日本を明るく照らし、子どもたちを元気にする国にしたいと願う。

(2017/11/3 05:00)

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