- トップ
- 科学技術・大学ニュース
- 記事詳細
[ 科学技術・大学 ]
(2017/11/3 05:00)
名古屋大学高等研究院の森島邦博特任助教らは宇宙線を使い、エジプトにあるクフ王のピラミッド内に長さ30メートル以上の未知の空洞を発見した。高い透過性を持つ宇宙線の一種である「ミュー粒子」を利用したものでピラミッド中央部「王の間」に通じる通路「大回廊」の上部にあたると見られる。森島特任助教は「この技術をピラミッドだけではなく、世界中の考古学遺跡の調査に使いたい」と話している。
ミュー粒子は1キロメートルの岩盤でも透過する。X線では通常数十センチメートルしか透過できない。また、ミュー粒子は岩盤中を直進する性質を持つため、検出器でとらえた際の粒子の方向を分析すれば、ピラミッドのどの場所を通過したかが分かる。
クフ王のピラミッドは紀元前2500年ごろに建設された。「スキャンピラミッド」と名付けたこのプロジェクトでは、エジプト考古省とカイロ大学などで運営。宇宙線を使った技術として、名大のほか、高エネルギー加速器研究機構などが参加。成果は2日、英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。
ミュー粒子による透過技術は応用が進み始めた。東京電力福島第一原子力発電所の原子炉内のほか、火山内部、橋などの老朽インフラの内部構造把握などに使われている。
(2017/11/3 05:00)