[ オピニオン ]
(2017/12/6 05:00)
5年ぶりにタイ・バンコクに行った。前回と比べて高層ビルが増え、バイクが減って自動車が増えた気がする。経済成長の象徴のような都市の発展ぶりだが、いずれも想像の範囲内である。
想定外だったのは、コーヒーショップ「スターバックス」の店舗が急増していたこと。高層ビルの1階には必ずといっていいほど店があり、街中にひしめき合っている。人ごとながら、供給過剰ではないかと心配になった。
以前、テレビのバラエティー番組で、スターバックスの店舗数で千葉県と埼玉県が都会度を競っていた。一種のお遊びだが、米シアトル生まれのスタイリッシュな店舗は都会を象徴する存在なのだろう。
英経済誌『エコノミスト』が提唱した「スターバックス指数」。各国で発売するトール・ラテ(大サイズのミルク入りエスプレッソコーヒー)の価格から通貨の購買力を比較する数値だ。90カ国以上で同一商品を販売しているからこそ、この“経済指標”が成立する。
ブランド力を磨き上げた企業努力は称賛に値する。しかし世界中、右も左もスターバックスばかりでは、都市の独自性は薄れてしまう。バンコクの街並みを眺めながら、都会の均質化に何とも言えない寂しさを感じた。
(2017/12/6 05:00)